オードリーヘップバーン

「オードリーヘップバーンはかわいい」という感想をよく聞く。
私が始めてオードリーヘップバーンを見たのは小学生くらいで、自分からみてずいぶん年上なので、どこがかわいいのか理解できなかった。
ヘップバーンさんの出演した作品で有名なものは、階級を超えた恋を題材にしたものが多く、古今東西定番の物語ばかりだと思う。
日本でいえば、遠山の金さんとか暴れん坊将軍とか、平民に混じってやんごとなき人やら権力のある人が大暴れする話。
ローマの休日』が最初に見た作品だったが、何と言う感想も持たず、へぇ〜なぜこれが有名なんだ。という感じだった。どこかの王女様と一介の新聞記者の淡い恋物語でこれといってなにがどう?てな感じだ。
次に見た『マイフェアレディ』もどこかの貧民街の少女が大学教授とハッピーエンドでこれもふーんという感じだった。なんでも発音の使い分けがすばらしいとの事だったが、日本では田舎言葉はみな東北弁で吹きかえられてしまうのでなにがいいのかさっぱりだ。
だから、『昼下がりの情事』を見たときも「またか」という感じだった。今にも家庭崩壊しかかっている大富豪と一般小市民の床屋の娘の恋愛・・・。なんでこうも同じ話ばっかりかな〜ぁと思いながらたしかチャンネル権を取り損ねたかなんかで仕方なくぼんやり見ていた。ああまた今回もつまらないものを見てしまったと思いかけた終了直前、ヘップバーンさんが顔を鬼瓦のようにしてホームで泣きじゃくって見せた。初めて私の中でヘップバーンさんの株が上がった瞬間だった。すばらしい。外国人の役者さんはここまでやってくれるのか・・・。私ははっきり言ってSFでもメルヘンでもドキュメンタリーの如くちゃんとやってくれないと許せない性質である。劇中で料理の場面が有ったらちゃんと包丁が使えないと興ざめして現実に引き戻されてしまう。日本の子役の嘘泣きほど気持ちの悪いものは無いと常々思っている。なのであのシーンには感動した。
多分かわいいという感想もだいぶ年を取られた方の発言なのだろう。自分もばあさんになったらもしかするとかわいいと思えるのかも知れないと思った。しかし今、かあいいっっと思えるのは、昔のアメリカドラマの『ナイトライダー』のキッドと『寄生獣』というコミックのミギーだなぁとしみじみ思う。